農地転用をこれから検討している方で、「市街化調整区域の農地転用は難しい」というような話を聞いたことがあるかもしれません。
もちろん、市街化区域と比べると審査の期間も長くなり厳格な審査となる傾向にありますが、注意点や目安期間を知っておくだけでも気持ちは軽くなると考えます。
こちらでは、これから市街化調整区域の農地転用を検討されている方に向けて、市街化調整区域の農地転用の手続き・流れ・期間を解説していきます。
市街化調整区域と市街化区域について

市街化調整区域とは「都市計画法」により定められた国土の区分のひとつで、市街化をしないよう抑制された区域のことを指します。
なるべく農地を残したい区域になるため、原則的には住宅等の建物の建築はできません。もっとも、許可を得ることで農地転用も可能になります。
一方で、市街化区域とは、市街化調整区域とは異なり、優先的に市街化を認める区域となります。予定地が市街化区域である場合は、事前に農業委員会へ届出で行うことによって農地転用の許可は不要になります。届出は、必要書類が不備なく提出できれば手続きは終了になります。
市街化調整区域内の農地転用の注意点

市街化調整区域内で農地の転用をする場合はいくつか注意しなければならないことがあります。
開発行為許可
開発行為とは、「主として建築物の建築又は特定工作物の建設の用に供する目的で行う土地の区画形質の変更すること」と定義されています。農地を宅地などに変更し、そこに建物を建築する場合は開発行為に該当します。
静岡市の場合だと市街化区域については、開発面積が1000平方メートル以上の開発行為(住宅団地造成等の特定工作物の建設の用に供する目的で行なう土地の区画形質の変更)を行なおうとするときは、あらかじめ静岡市長の許可を受けなければなりません。(都市計画法第29条)(※静岡市HPより)
市街化調整区域については、開発面積に関わらず許可が必要です。
開発行為許可と農地転用許可は同時申請、同時許可とされているため、必ず確認をしておきましょう。
農業振興地域内農地の農地転用
「農業振興地域」とは、今後、相当期間(概ね10年以上)にわたり、総合的に農業振興を図るべきとされる地域です。市街化調整区域内の農地であれば、これに該当している可能性が十分にあります。
農振地域の農地であれば、農振地域からの除外を認めてもらわなければ、農地転用することができません。行政側としては、できるだけ農地転用を認めたくない場所になるため、許可を得ることが難しいと言えます。また、除外までには半年から1年程かかる場合があります。
土地改良区内の農地の農地転用
土地改良区とは、土地改良法に基づいて設立された法人のことで、土地改良事業の実施を目的としています。農地転用をする場合、所属している土地改良区に地区除外申請書等をあらかじめ提出し、農地転用の承認を得る必要があります。対象農地の状況を把握している土地改良区に対して、土地改良区から除外されても問題ないどうかの意見を伺うことになっています。
土地改良法第2条
2 この法律において「土地改良事業」とは、この法律により行う次に掲げる事業をいう
一 農業用用排水施設、農業用道路その他農用地の保全又は利用上必要な施設の新設、管理、廃止又は変更
二 区画整理
三 農用地の造成
四 埋立て又は干拓
五 農用地若しくは土地改良施設の災害復旧又は土地改良施設の突発事故被害の復旧
六 農用地に関する権利並びにその農用地の利用上必要な土地に関する権利、農業用施設に関する権利及び水の使用に関する権利の交換分合
七 その他農用地の改良又は保全のため必要な事業
土地改良区によりますが、意見書の申請から交付までは1週間~2週間程度の期間を要します。
除外される場合は他の組合員の負担が増加してしまうので、その分を「決済金」という形で事前に支払い、他の組合員とのバランスを図っています。
まとめ
農地法関連許可のことなら、弊所までぜひご相談ください。農地転用の専門家である行政書士がスムーズに許可が取れるよう全力でサポートさせて頂きます。皆様からのお問い合わせ、心よりお待ちしております。